な、なんなんだ突然に…… 私の分身が警鐘を鳴らし始めていた。
「隊長! 早くしないと大変な事になってしまいます」
分身は何故か私の事を隊長と呼んでいる気がした。こんな状況をどこか客観的に見ながら遊んでいる感があるからだろうか…… とは言いながらも突然訪れたこの難局を乗り切る為に私は慌てて車を降りた。ガレージから家までは約1分かかる…… 私は過去のこの手の経験から、この1分はキツイ、かなりキツイと咄嗟に悟っていた。分身が言った。
「隊長! 焦ってはいけません、でも安心してもいけません、心を無にする事です。そして早歩きです早歩き、走ってはいけません走っては、肛門様への負担が大きすぎます、あくまでも早歩きですぞ」
もうすでにネタばれしていると思われるが気にせず続けよう。分身のそんなアドバイスも、成功も失敗も含めて過去のこの手の豊富な経験から十分に承知はしていたが、この日は違っていた。残り40秒くらいから、状況は危険度MAXに突入していた。並の早歩きではいられない、もう競歩、競歩…… それも踵浮きまくりの反則競歩! 傘を持つ手も震えだす。
「隊長ーっ! やばいです、かなりやばいです!」
分身もパニクッてきたようだ。雨はそんな苦境もおかまいなしに激しく降り続く。家までの最終コーナーを曲がれば後30メートル…… 刹那、分身が絶叫した。
「隊長ーっ! て、敵の、先頭部隊が〜」
私はコーナーを曲がりながら残された力を振り絞って肛門様を締め上げにかかった。が…… ちょっと出た。ニョロ吉がちょっと出た。だがまだケツの内だ。ケツ圧で耐えている状態だ。残り15メートル。また出た。ニョロ吉が……
「隊長ーっ! 大丈夫ですかぁーっ!」
やばい、マジでやばい…… 脳があきらめモードに入っている。
「隊長ーっ! もう無理です! わが軍の残された力では抑え切れません、すでに先頭部隊に突破されております!」
あと5メートル、傘を放り出した。滲み出ていた油汗が激しい雨に流されていった。
「隊長ーっ! もう絶対無理です。便器まではたどり着けません! どこか安全な場所に避難しましょう」
分身は私に敗北を悟らせ、無駄な抵抗をして被害を広げる事をやめさせようとしてきた。
「隊長ーっ! 早く決断をー! もう便器は無理です、便器はーーーっ!」
すでに先頭部隊は第三、第四部隊くらいまで突破されていた。ケツ圧の限界はとうに超えていた。
そして、家のまん前……
ドドドーン、ドドドドドー、ドドドー、ドドー、ドー ……
決壊した。
続く…
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