2006年06月03日

金のハゲと銀のハゲ・・・

ある山の中に、たいそうええかっこしいの男が住んでいました。男は、筋肉質で背が高く、しなやかに伸びた長い髪を携えた、それはそれは女性だけでなく、誰が見ても惚れ惚れするような「いい男」でした。ただ少々その男には問題がございました。それは、自分の事しか考えず、ええかっこうするためなら、平気でウソをついてしまうという悪い癖の持ち主だったのです。

ある時、男は言いました、
「俺はすごい早い球を投げられるんだ、150kmなんて簡単だぜ、ホラッ!」
そして男は落ちていた木の実をその持ち主であった木に向かって力一杯投げました。
「痛いよ〜、やめてくれよ〜」
木の精は泣きながら訴えました。またある時、男は言いました、
「俺は火を吹く事が出来るんだぜ、ホラッ!」
そして男は予め仕込んでおいた油を口から吹き出し、咲いていた花に向かって火を飛ばしました、
「熱いよ〜、やめてくれよ〜」
花の精も必死で叫びました。他の山の仲間たちの間でもその男の悪い評判は有名でした。

男の名前はリチャードクレイダーマンドリコワというややこしい名前でした。男はその長いややこしい名前は覚えてもらえず、山の仲間からは単純に「オッサン」と呼ばれていました。オッサンの悪行は治まる事を知らず、日々山の仲間を怯えさせていました。ただ、オッサンには絶対に人には言えない秘密があったのです。秘密といっても本人以外はみんな知っている「公然たる秘密」なんですが・・・

ある晴れた初夏の昼下がり、暇を持てあましたオッサンは、池の上にその枝を隆々と伸ばした松の木の上で昼寝をしていました。そしてコックリコックリと眠ってしまい、首から上が、ガクンガクンしていました。そして危うく木の上から落ちそうになり、ハッと目覚めた瞬間、なんと頭が池の中に落ちてしまったのです。いいえ、正確には髪の毛が落ちていったのです。そうです、オッサンはヅラだったのです。「公然たる秘密」とはこの事だったようです。オッサンは焦りまくりました。なんてったって、ええかっこうしいなので、この現場を見られたら大変です。とりあえず、松の葉を頭の上に乗せて急場をしのぎながら、
「あぁ、まずいよ〜、こんなところ見られちゃったら俺様の立場が・・・」
とオロオロしていました。

この光景を密かに見ていた木の精や、花の精、それに鳥や虫といった山の仲間たちは、笑いをこらえるのに必死でした。そしてみんな心の中で言いました、
「おーい、みんなぁ、オッサンの奴、罰があたったぞ〜、ざま〜みろ〜」
「この期に及んでまだ隠してるよ〜、バッカじゃねぇか〜」・・・
でも心の優しい山の仲間たちは、次第にオッサンがかわいそうになっていき、なんだか哀れにさえ思えてきたのでした。それを察知したのか、池の主で、この山を司る水の精が姿を現しました。そしておもむろに男に問いかけました。
「おい、オッサン、オッサンて・・・おまえやおまえ・・・そこの門松みたいな頭したオッサン!おまえや!」
「わ、私ですか?」
「おまえしかおらんやろが、めでたい頭しやがってからに・・・」
「は、はぁ」
「おまえか?なぁ?なんか訳わからん毛の塊落としたんは?あぁ?」
「は、はいそうです、早く返して下さい」
「しゃぁないなぁちょっと待っとけ」
水の精は池の中にその姿を消したかと思うと、ほんの一瞬で再び現れ、
「これか?おまえのヅラは?あぁ?」
と言いながら、黄金に輝く見事な金髪のヅラを掲げました。
オッサンは目をまんまるにしながら、
「おぉ、すっげぇーかっこいいじゃん・・・」
と、ええかっこうしいの血が騒ぎ出しました。しかし、オッサンは思い直したのでした。
「まてまて、昔、斧を池に落とした男の伝説を聞いた事がある・・・確かあの話は・・・」
そしてオッサンは静かに答えました。
「いえいえ、とんでもございません、私が落としたのは、そのような光り輝く立派なヅラではございません・・・」
「そうか、違うのか・・・」
言うや否や、水の精はもう一方の手に持っていた銀色にきらめく、見事なヅラを掲げながら、
「では、こちらの方か?」
と再び問いかけたのでした。
「おぉ、これまためっちゃいけてるやん・・・」
と、またまた心の中がざわめきました。が、オッサンは、
「いや、まだだ、まだ早い、確かもう1回チャンスはあったはずだ、うんうん・・・」
と思い直し、
「せっかくですがそれも私のものではございません・・・」
と殊勝な顔を装い答えてみせました。
「うむ、これも違うんか?」
水の精はやや困り果てたように首をかしげました。
オッサンは、心の中で叫んでいました、
「早く次の普通のを出してこいよ・・・そして正直者の俺は・・・ウヒヒヒヒィ・・・」
「ではしばらく待っといてんか」
水の精は、再び水の中に姿を消し、今度はしばらく現れませんでした。
オッサンは水の精がなぜ関西弁なのか?との疑問が一瞬脳裏をかすめましたが、そんな事はどうでもよいほど、次の瞬間を待ちこがれていました。
「なにをしてるんだよ〜、はやく持ってきやがれ、こんどはちゃんとそれですって言ってやるからよー」
オッサンははやる気持ちを抑えきれずにつぶやいていました。
そして水の精が現れ、その瞬間が訪れました。
「たいへん長らく〜おまんたせいたしました〜・・・」
「くだらん前置きはいらないんだよ!」
オッサンは予期せぬ水の精の引っ張りに苛立ちを露わにしました。
「おまえが落としたヅラはこれか?」
水の精は、ずぶ濡れになった小汚いヅラをその手に掲げました。
待ってましたとばかりに、そして自信まんまんに、
「そうでございます、その小汚いヅラこそ紛れもなく私のものでございます、早く返して下さい」
しばしの静寂がこの山を包み込みました。山の仲間たちは、密かに、このやりとりを見守っていました。そして、その静寂を打ち破るがごとく、水の精は言い放ったのでした、
「けっ!、汚いオッサン!、向こいけっ!」

この言葉が合図となったのか、あちこちから、大きな笑い声が聞こえ出しました。そうです、木や花の精や、鳥や虫たち、そして今まで、このオッサンにいじめられていた、山の仲間たちが腹を抱えて笑い出していたのです。あまりの笑い声で山がガンガン揺れるほどでした。オッサンは未だに自分が笑われている事に気づいていません。
「なぜだ?俺は正直に言ったじゃないか?おい・・・なぜなんだ?」
水の精は、深くため息をつき、あきれたようにオッサンに言いました。
「まだわかっとらんのか?なにが正直じゃ!」
「・・・」
「今のおまえの、そのありのままのハゲ頭が本当の正直な姿やろ!」
「・・・」
「私は、今までええかっこうしてヅラを被っておりましたが、これが私の真の姿でございます、もう被るものなどございません・・・と、こう言うのが正しい答え方じゃろが・・・」
「うっ・・・」
やられたとオッサンは正直に思った。

次の瞬間、オッサンは妙に肩の荷が下りたような気分になり、今までの中途半端な気分が嘘のように晴れ晴れとしてきたのでした。そして、そんなオッサンの気持ちの変化を察したのか、ゲラゲラと軽蔑の笑いを発していた山の仲間たちが、口々に言い出しました、
「ぎゃはははは、ハゲ!わかったか?」
「なかなかいけるで、ハゲ!」
オッサンはニコニコと笑っていました。不思議と腹は立たず、すごく穏やかな時が流れ出しました。

気が付くと水の精の姿はどこかへ消えていました。静かな山の中に、あちこちから、
「ハゲ!」
「ズルムケ!」
「ピッカリくん!」
などの声がこだましていました。

オッサンは照れながらもその笑顔はたえませんでした。もちろん、オッサンはその日から山の仲間をいじめるような事はなくなりました。
ハゲたし ハゲたし・・・




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posted by レッドフォックス at 02:29 | 京都 | Comment(17) | TrackBack(0) | お話
この記事へのコメント
今回も微妙なパロディタッチですね。レッドさんの進むべき道を模索中?いやいや、全てがレッドワールド?
文才あるのは承知の上ですが、この記事書くのにレッドさんならどれくらい書かんのかなぁ?って思うんですけど。けっこうな量だと思いますが。
Posted by に〜やん at 2006年06月03日 19:06
な〜んで「リチャードクレイダーマンドリコワ」
なんて名前なの?
彼に恨みでも〜??
しかし、笑いました〜。
今回、長文なので眠くない時に
改めて遊びに来ました〜。
「ハゲ」は愛情を減らさないですよ。
お気になさらず。
Posted by 銭花 at 2006年06月04日 00:22
な〜んで「リチャードクレイダーマンドリコワ」
なんて名前なの?
彼に恨みでも〜??
しかし、笑いました〜。
今回、長文なので眠くない時に
改めて遊びに来ました〜。
Posted by 銭花 at 2006年06月04日 00:23
に〜やんさん
やっぱ、こういうのってまずいですかねぇ^^;
いまいち日記風では、いいネタがないもんで^^;申し訳ないです^^;
この日は仕事がらみの宴会帰りで、少々酔うてたもんで、勢いで書いてしまいました。
中途半端ブログという事で大目にみてね^^;
Posted by レッドフォックス at 2006年06月04日 22:21
銭花さん
ハイ、全然気にしてませんし^^;
気にせず行こう・・・てのが基本のブログですから^^
Posted by レッドフォックス at 2006年06月04日 22:25
なんか定着しそうですね。
「お話シリーズ」。
今回は、金の斧・銀の斧ですかぁ。
レッドさんが、「森の精」を語るとは思いませんでした。
釈由美子に寄れば、妖精はジャージを着ている、5センチくらいのオッサンだったそうです。
座布団をひっくり返したらかじりついてたとか。
今度は、ハゲの妖精の話にしてください。
Posted by フランソワ at 2006年06月05日 09:47
まじまじと読んでしまったわ。。。
はぁ〜オモロかった!!!
長文でも読んでしまうね〜レッドさんのは。

ハゲたし〜ハゲたし〜
↑オチもいい〜(笑)
Posted by あんじー at 2006年06月05日 19:50
フランソワさん
ハゲの妖精ですか^^; 
ジャージ着てて、やっぱりハゲてるんやろねぇ・・・
おもろいなぁ^^
Posted by レッドフォックス at 2006年06月05日 22:30
あんじーさん
ありがとうございます。
>ハゲたし〜ハゲたし〜
 ↑オチもいい〜(笑)
オチのつもりはなかったんですが^^;
Posted by レッドフォックス at 2006年06月05日 22:32
レッドさんが どんどん文豪になっていく・・・
私 小説は作れないもんなぁ〜 スゴイなぁ〜
いやはや 今回も感心致しました (笑)
もしかして 今のうちにレッド先生のサインとか
貰っといた方がいいのかしら・・・?
次はどんな話なんだろう?
おぉ〜 楽しみだぁ〜
Posted by イボンヌ at 2006年06月07日 03:52
イボンヌさん
そうやっておだてりゃまた調子に乗ってなんか書きよるやろうって・・・^^;
まぁ、中途半端ブログという事で思いついたまま不定期で行かせていただきます^^;
お世辞でも嬉しいですわ^^
ありがとさんです^^
Posted by レッドフォックス at 2006年06月07日 22:17
あれ〜、なんで二つもコメントが?
しかも途中で切れて…?
謎だ…。
「文豪シリーズ」
次回が楽しみで〜す。
酔ってると筆が進みますよね!
Posted by 銭花 at 2006年06月09日 02:04
銭花さん
コメントだぶりは気にしないで下さい^^;
「文豪シリーズ」て・・・
言うてますようにただの「中途半端ブログ」なんで・・・
次回があるかどうかも? 予定は未定です^^;

Posted by レッドフォックス at 2006年06月09日 05:22
久しぶりです!  元気にしたはりますか?  最近ゲームをやりすぎて とうとう今朝 ダーリンの出勤時間なのに  寝過ごしてしまった! 起きたら居なかった・・・ いつかやってしまうな・・と思ってたのに・・・ ちょっと反省しながら レッドさんの お話を読んで これが私なんだから しょうがないと 開き直れました  アリガトウ!  でも 本当に 上手ね 絵本にしたいくらい  
Posted by ゆう at 2006年06月10日 09:41
ゆうさん
元気ですが、バタバタしてます^^;
>これが私なんだから しょうがないと 開き直れました
すごい開き直りじゃ^^;
お世辞でもうれしいねんけど・・・最後に一言・・・
何がダーリンじゃ!  
Posted by レッドフォックス at 2006年06月10日 21:49
ダーリン ダーリン ダーリン ダーリン ダーリン ダーリン ダーリン ダーリーンー!!  今日は これくらいに しといたろ     エンタ見るわ アクセルホッパーって どう 思う?
Posted by ゆう at 2006年06月10日 22:07
ゆうさん
ホッパーィ パパンパァーンパパパン・・・
ホッパーィ パパン バカ○ンポ!
見るだけ無駄や・・・
今日はこれくらいで寝たろ
Posted by レッドフォックス at 2006年06月11日 00:25
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